脇 浩美

所属:広島大学大学院工学研究科情報工学専攻

■研究テーマ

物理力学における問題変更演習支援システムとその利用実験

■研究テーマ概要

■研究詳細

問題Aが解けても、問題Aの解き方を応用した問題Bを解くことはできない場合がある。

これは、なぜ問題Aでそのような解き方ができるかを理解せずに、解法に当てはめるだけで問題を解いているためである。

このような理解は応用できない理解であるといえる。

本研究では学習者に、問題に対して応用可能な理解をさせることを目指す。

応用可能な理解をさせる演習方法として、本研究では問題変更演習(問題ベースの作問)を支援する。

問題変更演習は、学習者に原問題が与えられ、学習者は以下の3つの作業を繰り返すことで演習を行う。

(1)問題中に存在する属性や属性変更の一部を変更

(2)変更後の問題を解決

(3)変更前後の2つの問題を比較・吟味

しかし、問題変更演習を紙の上でやるのは難しい。

・問題の変更を紙の上で記述する手間

・作成した問題に対しての即時・個別対応が大変

⇒システム化

【問題変更演習を支援するシステム】(学習環境のみを提示する、という意味で支援)

[1]探求型問題変更演習支援システム

問題変更に制限を加えず、学習者に自由に行わせる

⇒力学を充分に理解できていない学習者には難しい

学習効果もはっきりとみることができなかった

[2]近傍への問題変更演習支援システム *現在作成中*

問題変更を少ししかできないように制限を加える

⇒力学を充分に理解できていない学習者にも、問題変更が簡単になる?

2つの問題の差分が少しだけになるため、問題間の比較も容易になるのでは?

また、制限を加える方法として、

変更前後の問題の解法の違いを記述した「問題変更課題」を与える方法をとる。

⇒[1]のシステムでは問題比較は、

変更前後の問題と解法を並べて提示した上で学習者に一任されており、

充分に問題間の比較が行われていなかった可能性があったため

⇒問題の変更と、問題間の比較を別フェイズで行うのではなく、

問題変更時に比較も行わなければならないと考えられる

■研究実績

(1)学内発表

(2)学外発表

脇浩美,浦智之,平嶋宗,堀口知也,"問題ベースの作問学習支援システムとその利用実験",JSiSE2008第33回全国大会講演論文集,pp.102-103

脇 浩美,山元翔,平嶋宗,“問題間の関係への気づきを指向した問題変更演習支援システムの設計・開発”,人 工知能学会研究会資料SIG-ALST-A903-14_pp39-44(2010,03)

(3)作成したシステム

(4)実践・実験

脇浩美,浦智幸,堀口知也,平嶋宗,“初等力学を対象とした問題変更演習支援システムの設計・開発”,教育システム情報学会学会誌,Vol.26,No.4, pp.329-338(2009.11).

■調査文献

[1]浦智幸、脇浩美、堀口知也、平嶋宗、”問題ベースの作問学習支援システムの設計開発”、

第52回先進的学習科学と工学研究会(SIG-ALST)、pp.77-82(2008)

[2]平林一榮、「数学教育の活動主義的展開」、東洋館出版社(1992)

[3]CHI,M.T.H., FELTOVICH,P.J. and GLASER,R.

“Categorization and representation of physics problems by experts and novices”,

Cognitive Science, 5, pp.121-52.(1981)

[4]S.I.ブラウン,M.I.ワルター:“いかにして問題を作るかー問題設定の技術ー”,東洋館出版社(1990)

[5] 竹内芳男,沢田利夫:“問題から問題へー問題の発展的な扱いによる算数・数学科の授業改善ー”,東洋館出版社(1984)

[6]堀口 知也,平嶋 宗,“モデルグラフに基づく発展的知識獲得の支援環境”,

人工知能学会 第42回先進的学習科学と工学研究会(SIG-ALST),pp.7-14(2004)

[7]Katharina Scheiter, Peter Gerjets:

“The Impact of Problem Order: Sequencing Problems as a Strategy for Improving One Performance",

Proceedings of the 24th Annual Conference of the Cognitive Science Society, pp.798-803(2002)