Hashimoto

(A)研究テーマ名

算数文章題を対象とした作問学習支援システムの乗除算への拡張と実践評価

(B)研究内容

作問学習は問題を解くのではなく,問題を作ることによる学習である.解法ベースの作問学習では,学習者は解法を与えられ,それが適用可能な問題を作る.この活動で学習者は解法の適用理由を理解している必要があるため,解法の定着に有効な方法であると言われている[1].作問学習において,解法に対応する問題は複数作成されることが考えられ,また正解も複数考えられる.従ってこの活動を実現するためには,作成された問題に対する評価が重要となる.そこで,作問学習を支援するシステムの研究・開発が行われている.

作問学習支援システムの1つに,算数の文章題を対象としたモンサクン[2]がある.このシステムは,小学校で学ぶ四則のうち,加減算の範囲での作問学習を可能とするものである.したがって,本研究ではこのシステムに乗除算の機能を持たせ,扱う領域を広げることを目標とした.

システムで新たに乗除算を取り扱うために,加減算との違いを分析したところ,乗除算では文章題中の量の意味を考えることが必要であると分かった.そこで比の3用法に基づくシステム設計・開発を行った.

そして,システムの評価実験を複数回実施し,開発したシステムが学習者に対して有用であることが示された.

図1:作問における加減算と乗除算の比較

図2:システムインターフェース

図3:実践概要

(C)研究業績

(D)参考文献

[1] Polya, G.:“How to solve it: A new aspect of mathematical method”,Princeton University Press(1957)

[2] Sho YAMAMOTO, Takehiro KANBE, Yuta YOSHIDA, Kazushige MAEDA, Tsukasa HIRASHIMA: “A Case Study of Learning by Problem-Posing in Introductory Phase of Arithmetic Word Problems”, Proc. of ICCE (2012).

[3] 清水静海,船越俊介 他38名:“わくわく算数2下”,“わくわく算数3上”,“わくわく算数3下”,“わくわく算数4上”,“わくわく算数4下”,“わくわく算数5上”,

“わくわく算数5下”,“わくわく算数6上”,“わくわく算数6下”,株式会社新興出版社啓林館,(2008)

[4] 遠山啓:“教師のための数学入門”,国土社,pp.143-167(1990)

[5] 吉田甫,多鹿秀継 編著:“認知心理学からみた数の理解”,北大路書房,pp.122-125(1995)