fujii
(A)研究テーマ名
「史実間およびそれらの構成要素間の構造の可視化による歴史学習の支援」
(B)研究概要
従来の歴史学習では,年号やキーワードを単に暗記することにとどまり,それらの関連性を十分に理解するまで至らないことが多い.
そこで本研究では,歴史学習において,Wikipediaにおける歴史の記述を教材とし,その中で記述されている「史実(=歴史的な出来事)」間の関係性や,
「史実」の中に含まれる「構成要素(=史実を考える上で,重要な人物や事柄)」間の関係性をマップ形式で可視化することで,そうした関係性を理解させることを支援する.
(C)研究詳細
・背景
昨今の学校の歴史学習における問題点として,「歴史科目は暗記科目」という認識が広く存在しており、その大きな原因は,個々の史実(=歴史的な出来事)の年号やキーワードを,それらを明確に関連づけることなく大量に記憶させる,詰め込み型の授業が展開されていることによる.
結果としてほとんどの学習者は,個々の史実内における関係性までは認識できたとしても,史実間における関係性の理解には十分に至らない.
こうした問題を踏まえ,本研究では,史実間の関係の認識を支援することを目標とし,その方法としてNovakらが提唱した概念マップ形式を採用する
・具体的な手法
本研究では、歴史の構造として、史実内構造と史実間構造を仮定し定義している
・史実内構造
史実内構造は、個々の史実の構成要素の集合と定義している
構成要素とは史実の内容を説明する上で不可欠なキーワードであり、主に人、事、物からなる。例(織田信長、桶狭間の戦い、鉄砲)
この構成要素の抽出には歴史資料集とWikipediaの記述を使用する、具体的には歴史資料集の索引の単語をキーワード集合とし、Wikipediaの該当の史実の記述とのマッチング処理を行う
・史実間構造
史実間構造は前述した史実内構造の構成要素を介して,史実間が接続される関係構造をもってそれとしている
個々の史実をノードとして、時系列順に即して配置した史実マップをもとに、個々の史実の内部構造の構成要素から、構造の起点となる注目ノードを設定することによって
注目ノードと史実ノードが自動でリンク付けされることによって史実間における構成要素の共有関係を可視化する。
・ 作成したシステム
(D)研究実績(学会発表,学内発表,研究室内発表)
藤井勇太,福田裕之, 山崎和也,舟生日出男,平嶋宗,"史実間およびそれらの構成要素間の構造の可視化による歴史学習の支援",JSiSE2010学生研究発表会,pp.183-186,(2010.03)
(E)調査文献リスト
歴史学習における概念地図掲示の効果 吉野巌 北海道心理学会第51回大会,北海学園大学,2004年10月17日
(北海道心理学研究, 27号, p.51, 2005/11/09)
Novak, J.D., & Canas, A.J. : “The Theory Underlying Concept Maps and How to Construct Them”. (2006).