松田智貴

松田智貴(広島大学工学部二類、情報工学課程学習工学研究室4年)

研究テーマ:

「算数的な物語構造を意識させるための遷移的作問演習システムの開発」

研究概要:

問題を作らせることで、問題の構造を理解させる作問学習。算数文章題の加減算の作問学習の支援システムとして、

「りんごが3こあります」のような単文を組み合わせて文章題を作成させる『モンサクン』が開発されている。

このモンサクンを小学校一年生に利用してもらったところ、

「ふえる」話でも計算式は3+?=5→5-3=?のように引き算となってしまうような、逆思考問題の理解が乏しいという結果が出た。

物語構造と呼ばれる、算数文章題の文的構造と数的構造の特徴や関係を理解することで、逆思考問題のような難易度の高い作問にも対応できると考え、

物語構造を意識させるための演習を考える。

研究詳細:

物語構造を意識させるためには、異なる特徴を持つ物語を連続で行わせることで、比較作業を促すことが効果的だと考えた。

そこで、共通性のある課題を連続で行わせる『遷移的作問演習』を提案。

その例として、「3+3-2」のような多項演算を「3+3=6」「6-2=4」のように分割して課題とする『しりとり』

「りんごが3こあります」「りんごが6こあります」といった、課題の正解に同じ単文カードが共通する『同単文カード』

「12+4=16」のように、課題の正解に同じ式が共通する『同式』を提案。

実際にこれらのシステムに提案した演習を実装し、大学生、大学院生に使用してもらいアンケートを求めたところ、

遷移的作問演習は比較作業を促すであろうという結果が得られた。

しかし、それにより物語構造を理解できているか、実際の算数文章題の作問の成績は向上するのかといったことは未知であるため、

今後はそれについて調べていくつもりである。

研究業績:

松田智貴,山元翔,林雄介,平嶋宗,"リフレクションの促進を指向した遷移的作問演習の提案",平成24年度JSiSE 学生研究発表会中国地区

参考文献:

[1]横山琢朗, 平嶋宗, 岡本真彦, 竹内章:単文統合としての作問を対象とした学習支援システムの設計・開発, 教育システム情報学会(2006), pp.166-169

[2]Sho YAMAMOTO, Takehiro KANBE, Yuta YOSHIDA, Kazushige MAEDA, Tsukasa HIRASHIMA: A Case Study of Learning by Problem-Posing in Introductory Phase of Arithmetic Word Problems, Proc. of ICCE2012

[3]M.S. Riley, J.G. Greeno, “Developmental Analysis of Understanding Language about Quantities and of Solving Problems Cognition and Instruction,” Vol.5, Issue 1, pp.49-101, 1988

[4]神戸健寛,吉田 祐太,山元 翔,平嶋 宗”単文統合型の.逆思考問題作問における誤りの分析”,JSiSE2012第37回教育システム情報学会全国大会,C6,(2012.08.22-24)